アウレリアの中心に位置する都市カストゥム。ここは冒険者たちが集まる活気ある都市であり、各地の情報や物資が集まる拠点だ。黎明の翼（Reimei no Tsubasa）として知られるアレクサンドルたちのパーティは、エリディアムから依頼を受け、新たな冒険に出発しようとしていた。

アレクサンドルとエリーナは、カストゥムの宿屋「フィルベルトの宿」で朝食をとっていた。宿の主人、オスカー・フィルベルトがニコニコと朝の挨拶をする。

「今日の旅路も気をつけてな、アレクサンドルさん。最近、南の交易路で魔物が出るって噂だ。通行は困難になってるらしい」

アレクサンドルは真剣な表情で頷いた。「ありがとう、オスカー。出発前にその情報を聞けて助かる」

エリーナは少し不安そうな表情を見せたが、すぐに気を取り直し、「でも、私たちなら大丈夫だよね？」と自信を持って言った。

パーティは、オスカーの助言を胸に、カストゥムの南へと向かった。目的地はエリディアムに向かう古びた交易路。昔はよく使われていたが、最近は魔物や盗賊の噂が絶えず、避けられることが多くなっていた。

その日、道中で彼らは一人の漁師、エルザ・バルトに出会う。エルザは旅の途中で船を停めており、何かを思案している様子だった。

「お前たち、南へ向かうのか？」エルザが声をかけてきた。「その道は今、相当危険だと聞いている。私の仲間も魔物に襲われたばかりだ」

アレクサンドルは目を細めて考えた。「エルザ、もしよければ一緒に行かないか？君の知識と力があれば、道を切り抜けられるかもしれない」

エルザは一瞬迷ったが、「いいだろう。仲間がやられた場所まで案内してやる」と応じた。

日が傾き、パーティが森の中を進んでいた頃、突然周囲の木々がざわめき、異様な空気が漂い始めた。エリオットが魔力を感じ取る。

「何かが近づいてくる……気をつけろ！」

突如、木々の間から巨大な狼型の魔物が飛び出してきた。その瞳は血のように赤く、鋭い爪がパーティに襲いかかる。

アレクサンドルは瞬時に弓を構え、「蒼穹の狼」の異名に相応しい正確な一矢を放った。矢は魔物の片目を射抜いたが、それでも魔物はひるまない。

「後退するんだ、エリーナ！」アレクサンドルが叫ぶ。

エリーナはエリオットの後ろに下がり、カリスが前に出て剣を構えた。「この距離なら、私に任せろ！」

エルザも参戦し、持っていた漁具で魔物の足を絡め取った。「今だ、仕留めろ！」

カリスはその隙を突き、魔物にとどめを刺す。魔物は大きなうなり声を上げながら倒れ、静寂が戻った。

戦いが終わり、パーティは疲れた表情を見せながらも、再び進む準備を整える。エリオットが倒れた魔物を調べながら、「こいつはただの魔物じゃない……この先に、もっと大きな危険が潜んでいるかもしれない」と呟いた。

「それでも進むしかない」とアレクサンドルは決意を新たにした。「エリディアムまで、この道を越えなければならない」

エルザは笑みを浮かべ、「お前たち、思ったよりも頼りになるな。また一緒に旅をしてもいいかもしれない」と言いながら船の方に戻っていった。

エピソードは、次なる危険が待ち受ける道へと向かうパーティの背中を映しながら、幕を閉じる。