夕暮れ時、エリディアムの街外れ。黎明の翼に加入したリディア・クレスウェルは、仲間たちと一緒に任務を終えて町へ戻る途中だった。彼女は剣士としての経験を積み、以前のような無鉄砲さは少し落ち着いていたが、心の中には幼い頃から変わらない使命感が根付いていた。

「ここに戻るのも久しぶりだな……」リディアは遠くに見える懐かしい町の景色を眺めながら呟いた。

突然、彼女の背後から声が聞こえた。「リディア？あなたがここにいるなんて信じられない！」

振り向くと、そこには幼なじみのタリア・アヴェリスが立っていた。タリアはリディアと同じぐらいの年齢で、昔と変わらない笑顔を浮かべていた。彼女はクレスウェル兄妹と幼少期から共に過ごし、彼らと多くの冒険ごっこを楽しんだ友人だった。

クレスウェル家の広い庭。幼いリディア、レオン、そしてエリーナは、タリアと一緒に遊んでいた。リディアは木の枝を剣に見立てて、無邪気に敵と戦う姿を演じていた。

「タリア、見て！私が皆を守るから！」リディアは真剣な顔で木の枝を振り回し、兄妹やタリアを守ろうとしていた。

「リディア、無茶しないでよ！」レオンは心配そうに妹を見ていた。彼はいつも妹たちを気にかける、冷静で慎重な兄だった。

エリーナはまだ幼く、小さな体で兄や姉の後を追いかけながら、「お姉ちゃん、私も一緒に戦う！」と叫び、リディアの真似をして木の枝を握りしめた。

タリアは微笑みながら彼らを見守っていた。「いつか本当に一緒に冒険しようね！」と彼女は楽しそうに言った。

その約束は子供たちの間で交わされたが、時が経つにつれてそれぞれの道を歩み始め、約束は徐々に忘れられていった。

「タリア……久しぶりだね」リディアは微笑みながらタリアに歩み寄った。

タリアも感慨深げに頷いた。「ずっとエリディアムにいたけど、あなたはもう遠くに行っちゃったんだと思ってた。リディアがこんなに立派な剣士になるなんて信じられないよ」

リディアは少し照れながら肩をすくめた。「でも、昔の私と変わらないよ。まだ無鉄砲だし、兄さんにはよく叱られてる」

「リディアの無鉄砲さは昔から変わらないね」突然、後ろからレオンの声が聞こえた。彼はリディアを見て微笑んだが、その表情には彼女を心配する兄の心が隠されていた。「でも、それがリディアらしいところでもある」

「レオンも相変わらずだね」タリアは懐かしそうにレオンを見た。

レオンは軽く笑って、「まぁ、妹たちが危なっかしいんだから、仕方がないだろう」と冗談めかして言った。

エリーナは21歳の大人びた表情でタリアに微笑んだ。「タリア、覚えてる？私たち、昔よく一緒に剣ごっこして遊んでたよね」

「もちろん覚えてるわ」タリアも微笑み返し、「あなたもずいぶん強くなったみたいね」と感心したように答えた。

リディアはふと、幼少期に交わした「一緒に冒険しよう」という約束を思い出していた。今、こうして大人になり、各々の道を歩む中で、かつての約束がどれだけ現実離れしていたかに気づく。しかし、その一方で、あの頃の無邪気な夢を忘れていない自分にも気づいた。

「タリア、私たちが子供の頃に交わした約束、覚えてる？」リディアが静かに尋ねた。

「もちろん覚えてるわ」タリアは頷いた。「『一緒に冒険に出る』って約束したよね」

「その約束、今でも果たせる準備がある？」リディアの問いかけに、タリアは一瞬驚いたが、すぐに微笑んで頷いた。「いつでも手伝うよ、リディア」

レオンはそのやり取りを静かに見守り、「俺たち兄妹は昔から一緒だ。リディアが何を選んでも、俺は支えるよ」と優しく言った。

エリーナも力強く頷き、「お姉ちゃんもタリアも、私が守る！」と元気よく宣言した。

こうして、リディア、レオン、エリーナ、そしてタリアは再び繋がりを取り戻し、それぞれの道を歩んできた兄妹たちは、また新たな冒険へと向かおうとしていた。彼らの絆は、年月を経ても変わらず、むしろさらに強まっていた。