====== 妹からの念話と姉の葛藤 ====== {{:妹からの念話と姉の葛藤.jpg?400|}} ロマリウス邸を後にして数日、[[アレクサンドル・ロマリウス|アレクサンドル]]、[[マリアナ・ロマリウス|マリアナ]]、[[リュドミラ・アラマティア|リュドミラ]]、[[アレナ・フェリダ|アレナ]]、そして新たに加わった吟遊詩人[[リューシス・フィデリス|リューシス]]は、[[カストゥム]]への道を進んでいた。夕方、宿営の準備を整えていたとき、リュドミラは突然立ち止まった。何か、心の中に微かな声が響いたのだ。最初は風の音かと思い、信じられなかった。 「姉さん……聞こえる?」 その声にリュドミラの心臓が高鳴った。懐かしくも思えるその声は、妹の[[アリーナ・アラマティア|アリーナ]]に違いなかった。リュドミラは瞬時に念話を意識し、心を集中させた。 「アリーナ……本当にあなたなの?」 声は途切れ途切れだったが、確かにアリーナのものだった。「お姉さん、私はカストゥムに向かっている。会いたいの」 リュドミラの驚きは隠せなかった。彼女の心に広がる驚きに気づいたアレクサンドルが眉を寄せた。「リュドミラ、どうした?」 「アリーナからの念話よ」彼女は震える声で答えた。「彼女がカストゥムに向かっているみたい」 その言葉にアレナも目を見開いた。「アリーナが念話を?それはすごいわ」彼女は興奮した様子で続けた。「まさか、彼女も念話の才能を…」 マリアナは微笑を浮かべて言った。「それは新たな希望ね。私たちにとっても大きな力になり得るわ」 リュドミラの胸には喜びと同時に、妹を戦いに巻き込んでしまう不安が入り混じっていた。「アリーナ、すごいわ。でも、あなたが安全であることが一番大事なの」 アリーナの声は小さくも力強かった。「私はもう決めたの。カストゥムで会いましょう。話があるから」 リュドミラは心の奥底で湧き上がる感情を抑えつつ、優しく答えた。「わかったわ。カストゥムで待っている」 アレクサンドルがその様子を見つめ、重々しく頷いた。「これは良い兆しだ。アリーナが加わることで、私たちに新たな希望と力がもたらされるかもしれない」