====== 揺れる心: セリーヌとレオニードの婚姻提案 ====== {{:揺れる心_セリーヌとレオニードの婚姻提案.jpg?400|}} [[セリーヌ・アルクナス]]は、夕陽に照らされた応接室で、[[レオニード・バルカン]]を迎えた。彼女は軽く深呼吸をして気持ちを整えた。この会談は、新たなエリディアム帝国を築くための重要な一歩となるはずだった。レオニードは、強靭な体格と落ち着いた佇まいで、彼女の前の椅子に腰を下ろした。 「今日お越しいただき、ありがとうございます」セリーヌは柔らかい笑みを浮かべたが、その言葉の裏には強い決意が込められていた。「私は、これからのエリディアムの未来を話し合いたいと思っています」 「もちろんだ」レオニードは静かに答えた。その声には興味と同時に慎重さが含まれていた。「セリーヌ、貴方の計画には私も一部賛同している。しかし、説得するには具体的な道筋が必要だ」 その時、灰燼の連盟のメンバーである[[イリア・マリウス]]が席に着き、控えめながらも慎重に話を切り出した。「もしお許しいただけるなら、一つ提案があります」 セリーヌとレオニードはイリアに視線を向けた。彼は冷静な表情を保ちながら言葉を続けた。「セリーヌ様、レオニード様。もしお二人が婚姻関係を結べば、それは貴族たちへの非常に強いメッセージとなります。正統性と安定を象徴するものとなるでしょう」 その場が一瞬静まり返った。セリーヌは表情を引き締めながら考え込んだ。確かにその提案には合理性があった。しかし、それがどれほどの重みを持つかも理解していた。 レオニードが口を開いた。「婚姻とは簡単に決められるものではない。セリーヌ、これは貴方にとって政治的な選択なのか、それともそれ以上のものなのか?」 その問いに、セリーヌは一瞬戸惑いを見せたが、すぐに目を閉じて自分の考えを整理した。彼女は静かに息を吸い、再びレオニードに向き直った。 「レオニード、まずははっきり言わせてください。この提案は、この国全体のためのものです。新たなエリディアム帝国を築くためには、貴族たちが信頼を寄せる象徴が必要です。そして、私たちの結びつきがその役割を果たすでしょう」 レオニードは黙ったまま、セリーヌの目をじっと見つめていた。彼の表情は冷静だったが、心の奥では彼女の本音を求めているのがわかった。 その沈黙を破るように、セリーヌはさらに続けた。「でも、それだけではありません。私は貴方の力を尊敬しています。貴方の誠実さと決断力があってこそ、この計画が実現すると信じています。そして……私は貴方と共に歩む未来に希望を感じています」 その瞬間、レオニードの表情にわずかな変化が見えた。彼は短く息を吐き出し、穏やかな声で答えた。「セリーヌ、貴方の言葉には誠実さがある。もしこれがこの国の未来を築く最善の方法ならば、私はそれに協力しよう」 セリーヌは静かに微笑み、心の中で安堵の息をついた。この瞬間、二人の間に新たな信頼の絆が生まれた。そして、イリアの提案が、帝国再建の大きな一歩となることを、彼らは確信していた。