====== 母としての第一歩 ====== {{:母としての第一歩.jpg?400|}} 赤ん坊の誕生から数日が経ち、フィオルダス邸は平和で穏やかな空気に包まれていた。屋敷内では家臣や使用人たちが忙しく働きつつも、新たな命の誕生を祝福するような温かい雰囲気が漂っていた。一方で、[[リディア・フィオルダス]]は出産という大きな試練を乗り越えたばかりだったが、母親としての新たな責任を胸に刻んでいた。 ---- 「この子が……私の子」リディアは寝室の揺りかごにそっと手を伸ばし、小さな顔を見つめながら呟いた。 赤ん坊は小さな手を握りしめ、眠たげな目をゆっくりと開けた。その様子を見て、リディアは胸が締め付けられるような感情を覚えた。「こんなに小さいのに、この子には私たちの未来が託されているのね」 [[レイナ・フィオルダス|レイナ]]が部屋に入ってきて、リディアの横に座った。「お姉様、あなたがこんなに優しい目をするなんて。赤ん坊って本当に人を変えるのね」 リディアは小さく笑い、赤ん坊の頭を優しく撫でた。「変わったのかもしれないわ。母親として、この子を守らなくちゃいけないと思うと、どんなことでも乗り越えられる気がする」 ---- その頃、[[マルコム・フィオルダス|マルコム]]と[[セドリック・フィオルダス|セドリック]]は書斎で話し合っていた。対立勢力がリディアの赤ん坊を脅威と見なし、新たな動きを始めているとの情報が入っていたのだ。 「この子の存在は、私たちだけでなく、この地域全体にとっても希望の象徴だ」マルコムは真剣な表情で言った。「だが、それが敵にとって脅威になるのは避けられない」 セドリックは頷きながら、警戒を強める必要性を提案した。「警備を再編し、屋敷の周囲をさらに強固に守るべきです。そして、情報網を使って敵の動きを先読みしなければなりません」 マルコムは弟の言葉に同意し、「リディアと赤ん坊を守るために、どんな犠牲も厭わない」と力強く言い切った。 ---- その夜、リディアはマルコムと赤ん坊を挟んでベッドに座っていた。赤ん坊は静かに眠っており、二人の間には穏やかな時間が流れていた。 「マルコム、この子が生まれてから、私自身が少しずつ変わっていくのを感じるわ」リディアは静かに言った。「今まで以上に、この家族を、そしてこの国を守りたいと思う」 マルコムは優しくリディアの手を取り、「君は本当に強い女性だ。僕たち全員が君とこの子を支える」と答えた。 その時、レイナが部屋に入ってきて微笑んだ。「お姉様、この家にはいつでもたくさんの味方がいるわ。だから安心して」 ---- リディアは赤ん坊を見つめながら、未来への希望と覚悟を胸に秘めていた。その小さな命は、フィオルダス家にとっての希望であると同時に、周囲を脅かす存在にもなり得る。だが、家族全員が団結し、新しい命を守り抜く決意を新たにしていた。 新たな課題と危険が近づきつつある中で、リディアは母として、妻として、一家の中心としての第一歩を踏み出したのだった。