朝の光が森を淡く照らし、鳥のさえずりが響く中、アリーナ・アラマティアはカストゥムに向かって進んでいた。彼女の心には不安と期待が入り混じっていたが、歩みは止まらなかった。これまで村からほとんど出たことがなかった彼女にとって、この旅は大きな挑戦だった。
道中で休憩を取っていたとき、アリーナは瞳を閉じ、姉のことを思い浮かべた。「お姉さん……聞こえる?」まだ不慣れな念話の力を意識しながら、心から声を送った。
しばらくして、答えが返ってくることはなかったが、アリーナは確かに姉への気持ちが届くような感覚を感じていた。念話は一方的なものだったが、それでも繋がっている実感が彼女に安心感を与えた。
「きっと聞こえていなくても、リュドミラは私のことを感じているはず」アリーナはそう自分に言い聞かせながら微笑んだ。
森の中を進みながら、彼女は旅の途中で見た風景を心に焼き付けていた。初めて目にする草花、遠くに見える山々、そして旅人たちとの短い会話。その一つ一つが彼女に新たな世界を教えてくれた。
「もう少しで会えるわ、姉さん」そう呟きながら、アリーナは再び念話で声を送った。「私は無事に進んでいる。もうすぐカストゥムに着くから待っていて」
アリーナの心は希望に満ちていた。彼女は念話を通じて自分の力が少しずつ成長していることを感じていた。「これが私の力……まだまだこれからね」
道の先にはカストゥムの街が広がっている。姉に会い、そして新たな役割を果たす日が近づいていることを感じながら、アリーナは再び歩を進めた。