カストゥムの街が朝日を浴びて輝く中、セシル・マーベリックとエミリア・マーベリックは、馬車のそばで旅の準備を整えていた。エリディアムへの旅は慣れた道のりだが、今回はどこか落ち着かない気持ちが漂っていた。
「リディアが結婚するって噂、本当なのかな?」エミリアはふと疑問を口にした。彼女の青い瞳は微かに不安の色を浮かべていた。「まだ確かなことは何も聞いていないけれど……」
セシルは肩をすくめて笑みを浮かべた。「俺たちがクレスウェル家に着けば、真相が分かるだろうさ。噂話なんて大げさに広まることも多いからな」
エミリアは頷きつつも、どこか気になる様子で続けた。「でも、リディアにとって大きな変化が起きているのは間違いないわ。彼女を支えるために、私たちができることは何でもしたい」
馬車がゆっくりと動き出し、カストゥムの街を後にする。エリディアムの道のりは二人にとって馴染み深いが、これから何が待っているのかは誰にも分からない。エミリアは旅の終わりにある再会を思い描きながら、そっと胸に手を当てた。
「どんな形であれ、リディアの幸せを見届けたいわ」エミリアは決意を秘めた声で言った。
セシルは彼女の手を優しく握り返し、前を見据えた。「ああ、俺たちの力が必要とされるなら、どんな状況でも全力で応えるさ」
噂に包まれた真実を知るために、そして友人を支えるために、二人はエリディアムへ向けて旅を続けるのだった。