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リディア・クレスウェルが受けた極秘任務

リディア・クレスウェルは、黎明の翼の一員として数々の戦いを経てきたが、「アルカナの灯火」のセラフィナ・カレヴァが彼女に依頼した任務は、過去にないほどの危険と孤独を伴うものだった。秘術結社の長であるセラフィナは、リディアの実力と忠誠心を高く評価し、彼女に極秘の使命を託すことを決意する。

任務の背景

アウレリア全土で密かに語り継がれる「ルーン・オーブ」と呼ばれる古代の遺物は、強大な魔力を宿しており、月の信者たちが手に入れれば莫大な力を得るとされていた。このオーブを確保し、封印を維持することがアウレリアの平和を保つための重要な鍵と考えたセラフィナは、誰よりも先にオーブの所在を突き止め、封印を強化する必要があると感じていた。

「リディア、君はこのオーブの探索と封印のための最適な人物だ。君の任務は極秘で、誰にも知られてはならない」

セラフィナの依頼

リディアがセラフィナに呼び出されたのは、カストゥムの人目につかない書斎だった。セラフィナはリディアを見据え、冷静な目で任務の詳細を語った。

「リディア、北方にある『霧の峡谷』に向かってほしい。そこにはルーン・オーブが封じられているとされ、信者たちの手がすでに及びかけている。誰の手にも渡さぬため、君にはひとりで向かってもらいたい」

リディアは、静かにその言葉を受け止めた。彼女にとって任務の重圧は計り知れないものであったが、それでも守るべき家族や仲間がいると思えば、迷いはなかった。

「わかりました。この任務、必ず成し遂げてみせます」

準備と協力者

セラフィナはリディアに、特別な護符を手渡した。この護符はルーン・オーブに反応する仕組みを持ち、彼女がオーブの位置を特定するための手助けとなる。さらに、任務の補佐として凄腕の密偵イヴァン・ザレスキーを紹介した。

イヴァンは笑みを浮かべ、「君を安全に霧の峡谷まで導くのが僕の役目だ。だが、そこから先は君自身の力にかかっている」と言った。

リディアは彼の助力に感謝しながらも、この任務が自分ひとりの責任であることを強く心に刻んだ。彼女は装備を整え、旅の準備を始めた。

任務への出発

出発の朝、セラフィナは最後の言葉をかけた。

「リディア、君にかかっている。だが、何かあればいつでも知らせてくれ」

リディアは護符を手に握り、静かに頷いて出発した。霧の峡谷に向けた孤独な旅が始まり、彼女の心には強い使命感が燃えていた。この任務がアウレリア全土の未来に影響を及ぼすかもしれないという覚悟が、彼女の胸の奥で脈打っていた。