クレスウェル邸の中庭は、早朝から活気に満ちていた。レオンとカトリーヌは並んで立ち、ティヴェリアン家の使者や技術者たちが荷馬車から物資を下ろす様子を見守っていた。木材、石材、鍛造された金属部品――それらはすべて、防御設備を強化するための資材であった。カトリーヌの瞳には、自分の家族が兄アルバンを通じて見せた支援への誇りが宿っていた。
レオンは深く息を吸い、視線を防衛担当者であるオリバーに向けた。「これで、初期段階の防御強化は問題なく進められそうか?」と尋ねると、オリバーは敬礼して笑顔を見せた。「はい、これほどの支援があるとは思ってもいませんでした。作業は順調に進むでしょう」
その言葉にレオンは少しだけ肩の力を抜き、カトリーヌの手を取った。「君がここにいてくれることが、どれだけ心強いか分かるか?」と囁く。カトリーヌは微笑み、力強く応えた。「これからもクレスウェル家はティヴェリアン家とともにあるわ。私たちは一つの家族よ」
ティヴェリアン家の技術者たちが防衛設備の設計図を広げ、クレスウェル家の防衛計画と融合させた新たな設計を説明し始めると、カトリーヌはそれに耳を傾けた。彼女の眼差しには、自分がただの嫁ぎ先の一員ではなく、クレスウェル家の一員として戦いに参加しているという自覚があった。
一方、レオンはその場を見渡し、責任感が胸に広がるのを感じていた。オスカーの死によって覚醒した彼の使命感は、ただ復讐のためではなく、家族と故郷を守るためのものだった。カトリーヌの隣に立ちながら、彼は自分の中に宿る決意を再確認した。
「この協力があれば、月の信者たちにも対抗できる」と心の中で誓い、両家の絆が深まっていく光景を見つめた。