カストゥムへの帰路を進みながら、アレクサンドルは心の中で次の動きを整理していた。エリオットとカリスからの定期的な連絡のおかげで、彼は現状をほぼ把握しており、「アルカナの灯火」の指導者がセラフィナ・カレヴァであることも確信に変わっていた。これまで手掛かりが掴めず捜索は中断せざるを得ないが、セラフィナの正体が判明したことで、焦らずに今後の計画を進めることができる。
マリアナもまた、アレクサンドルの隣で歩みながら、彼の真剣な表情を見守っていた。彼が抱える重責と決意を感じつつも、自分にはまだ関わるべき人物がわからない部分があることを心の片隅で気にかけていた。とくに、これまでに聞いたことがあるアレナ・フェリダやリュドミラ・アラマティアといった人物について、彼女には会ったこともなく、接点がなかったからだ。
「アレック、カストゥムに戻ったら、私もその方々と一緒に行動することがあるかしら?」マリアナは思い切って尋ねた。
アレクサンドルは穏やかに頷き、彼女に説明を始めた。「そうだね。アレナは念話の能力を持っているから、連絡役として重要な存在だし、彼女とリュドミラは信頼に足る仲間だ。きっと君も彼女たちとすぐに打ち解けられるだろう」
その言葉に、マリアナの胸の内に希望が広がった。
少し離れた位置でエリーナはその様子を見守りながら、帰還後に合流する仲間たちと一緒に進む未来に期待を膨らませていた。アレクサンドルが果敢にリーダーシップを発揮する姿を見るにつれ、エリーナもまた、家族と仲間たちが力を合わせることの意義を再確認していた。
「きっと、カストゥムで再会する皆もこの先の戦いに必要不可欠な存在になるわね」とエリーナが呟くと、レオンも静かに頷いた。
アレクサンドルは仲間たちと合流することで、次の行動をさらに具体化できると確信していた。マリアナ、エリーナ、そしてレオンの心強い存在を感じつつ、彼はこの戦いの一歩を踏み出す決意を新たにした。
カストゥムが遠くに見えてくる中、アレクサンドルの心には一つの確信があった。彼が帰還すれば、彼と彼の仲間たちが、月の信者たちと対抗するための新たな道を切り開いていくのだと。