出発前夜に紡ぐ絆

リディア・クレスウェルは、エリディアムでの長い療養生活を終え、翌日にはアレクサンドルエリーナとともにカストゥムへ戻る予定だった。窓辺に座り、夕焼けに染まる空を見上げながら、リディアの心にはひとつの思いが残っていた。それは、療養中にどうしても会いたいと思っていた友人、タリア・アヴェリスに会うことだった。

その時、静かなノック音が響いた。リディアは立ち上がり、扉を開けると、そこには待ち望んでいたタリアの姿があった。久しぶりに会うタリアの姿に、リディアの顔には自然と笑みが浮かんだ。

「タリア……来てくれたのね」リディアは微笑み、タリアを迎え入れた。

「もちろんよ、リディア。あなたがカストゥムに戻る前に、どうしても会いたかったの」タリアは優しく微笑みながら、リディアをしっかりと抱きしめた。


二人が話し始めたところに、エリーナが部屋に入ってきた。彼女もまた、タリアに会うのは久しぶりであり、その姿を見た瞬間、エリーナの顔にも笑顔が広がった。

「タリア!久しぶりね!」エリーナは駆け寄り、喜びを露わにしてタリアに挨拶した。

「エリーナ、元気そうで何よりだわ」タリアはエリーナの成長した姿に感心しながら、彼女を温かく抱きしめた。「こうして再会できるなんて、感慨深いわね」

エリーナは照れくさそうに笑いながらも、タリアとの再会を心から喜んでいた。彼女にとっても、この瞬間は特別なものだった。


三人は暖かな部屋で、リディアの療養生活やカストゥムへの帰還についてゆっくりと話し合った。タリアは、リディアがここまで回復してきたことに安堵の表情を浮かべていたが、リディアの瞳にはまだどこか不安が宿っているのを感じ取っていた。

「体力は戻りつつあるけれど、まだ完全じゃないの。カストゥムに戻るのは嬉しいけれど、少し怖いのよ……」リディアはタリアに打ち明けた。

タリアは彼女の手を優しく握り、励ましの言葉をかけた。「無理しないで、リディア。焦らず、自分のペースで進めばいいのよ。エリーナやアレクサンドル、それに他の仲間たちもあなたを支えてくれるわ」

エリーナもその言葉に頷き、「タリアの言う通りだよ、姉さん。私たちはみんな、姉さんが無理せず元気になってくれることを願っているんだから」と付け加えた。

リディアは二人の優しさに少しだけ肩の力を抜き、心の中の不安が和らいでいくのを感じた。「ありがとう、二人とも。あなたたちのおかげで少し気持ちが軽くなったわ」


その夜、リディアはタリアとエリーナの温かい言葉に支えられながら、明日からの新たな日々に向けて静かに決意を固めた。