初の共同作戦

月明かりが薄く広がる夜、フィオルダス家の広間に一同が集まっていた。遠くカストゥムから、エリオットエリーナの声がアレナの念話を通じて響く。念話の達人であるアレナが、遠隔地にいる仲間との連絡を的確に維持し、戦略を支える。

「ここまで準備を進めてきたが、気を抜くなよ」とアレクサンドルが鋭い目つきで一同を見渡した。その声に一瞬緊張が走るが、同時に心強さを感じさせる指揮者の風格が漂っていた。リディアはその姿に、共に歩んできた日々の頼もしさを感じ、胸の奥に勇気を宿す。

「フィオルダス家も全力で協力する。皆を信じている」とマルコムが力強く宣言する。彼の眼差しには、妻リディアと生まれてくる子供への思いがにじんでいた。守るべきものがある限り、決して退くことはないという覚悟が感じられた。

「これが終わったら、みんなで無事に帰って祝おう」とエリーナの声が柔らかく響く。遠くにいながらもその優しい響きが一同を包み込む。エリオットは慎重な声で「情報は十分だが、油断は禁物だ。念話を通じて、すぐに状況を伝えるように」と指示する。彼の冷静な判断は、作戦に参加する者たちに安心感を与えた。

アリーナはアレナの念話の様子を間近で見守りながら、自分の将来を思い描いていた。まだ経験不足の彼女だが、いずれは自分もアレナのように仲間たちを支える存在になりたいと強く感じていた。戦いに直接参加することがなくても、自分にできることを模索し、その役割を果たすための決意が彼女の心を燃やしていた。

準備が整い、静かな合図とともに一行は月の信者たちの拠点へと偵察に向かった。アレナは念話で状況を報告し、アリーナはその様子を見守りながら自分の力を蓄える日を心待ちにしていた。月の信者たちの動きが報告されるたびに、緊張が走るものの、皆の心には確かな信頼と共に戦う覚悟があった。

戦いの幕開けは静かに、しかし確実に始まっていった。