アルカナの灯火の本部は、古代の建築と新たな魔術の技が見事に融合した場所だった。アレクサンドル、エリオット、そしてアレナは、その重厚な扉の前で緊張に包まれていた。アレクサンドルは深く息を吸い込み、視線を仲間たちに移した。彼の茶色の瞳には決意が宿っている。
「いよいよだな。ここでの結果が今後の全てを左右する」彼は低く言い、拳を握りしめた。
エリオットは冷静に頷き、持ってきた古い巻物を確認する。「情報が足りなければ、交渉は難しくなるかもしれない。準備はできているか?」
アレナは少し肩の力を抜き、緊張をほぐそうと笑みを浮かべた。「念話での連携は問題ないわ。何かあればすぐに対応できるようにしている」
扉が静かに開かれ、そこにはアルカナの灯火のメンバーたちが待っていた。中央に立つ高位の魔術師は、鋭い眼差しで彼らを迎え入れた。彼女の名はセラ・カーヴァス、知性と威厳が溢れていた。「お入りください、アレクサンドル殿、そしてその仲間たち。こちらもあなた方の意図を知りたい」
アレクサンドルは一歩前に進み、感情を押し殺した表情で頭を下げた。「我々は、共にアウレリアを守るために手を結びたいと考えています。あなた方の知識と力を借りたいのです」
セラの表情は硬いままだが、その背後にいた若い魔術師のひとりが興味深げに目を輝かせた。エリオットはその変化を見逃さず、間髪を入れず話を続けた。「この地に迫る脅威を共に対抗するため、情報と技術の交換を提案します。防御魔法に関して、私たちは新たな考えがあります」
室内には一瞬の沈黙が訪れた。アレナはその静けさに緊張を感じながらも、背筋を伸ばして誇り高く立っていた。念話でのサポートをいつでも行えるように心を集中させている。するとセラは、微かに口元を動かしながら言った。「興味深い。だが我々が求めるものもある。忠誠と協力の証を見せてもらおう」
その言葉に、アレクサンドルの胸の中で炎が灯るような感覚が走った。彼は静かに、しかし力強く言った。「我々がその証を示し、共に戦う日が来ることを誓います」
その日、初の接触は試験的な交流として幕を下ろした。互いに緊張感を持ちながらも、共に歩み始める一歩を踏み出したのだった。