エリオットは机に広げた古い地図の上で、指先をなぞりながら新たな情報を思案していた。彼の瞳には興奮と不安が交錯し、情報の真偽を確かめたいという強い思いがその表情に現れていた。アレクサンドルは部屋の入り口からその様子を静かに見つめ、何がエリオットをそこまで動かしているのかを感じ取っていた。
「アレック、これを見てください」エリオットが声をかけると、アレクサンドルは一歩前に進み、地図に視線を落とした。エリオットは熱心に説明を始めた。「最近、月の信者たちの動きが活発化している兆候があるんです。それに加えて、灰燼の連盟が動いているという噂も……。彼らが何かを知っているのは間違いありません」
アレクサンドルは眉をひそめ、思案顔で答えた。「過去に彼らとは数度接触したが、簡単に心を開く相手ではない。慎重に進めなければならない」
リュドミラが部屋に入ってきて、視線を交わしながら言葉を添えた。「私のサイコメトリーでも、月の信者たちの不穏な気配は感じ取れました。エリオットの言うことは信じていいでしょう」
アレナもそのやり取りを後ろから見守っていた。彼女はすでに念話の準備を整えており、いざという時には即座に連絡を取る覚悟だった。「アレック、必要なら私が念話で連絡を取り、灰燼の連盟とのつながりを再度確かめましょう」
アレクサンドルはその提案に静かにうなずき、部屋の中に決意の空気が漂った。「わかった。私たちが今進めている道は危険だが、避けては通れない。灰燼の連盟と再び接触を試みるべきだ」
エリオットの目は輝きを帯び、リュドミラも静かに拳を握りしめた。アレナはその場に立ちながら、自分がその架け橋となる覚悟を新たにしていた。