剣術の初歩:アリーナの挑戦

陽の光が柔らかく庭に差し込み、カストゥムの拠点の訓練場には心地よい静けさが漂っていた。エリーナ・クレスウェルは剣を持ち、目の前に立つアリーナ・アラマティアを見つめた。アリーナは緊張した面持ちで、まだぎこちない手つきで剣を握っている。

「まずは基本姿勢よ。しっかり構えて、体の中心を意識して」エリーナの声は優しくも力強く響く。彼女はかつて、自分がエリオット・ルカナムから魔法の手ほどきを受けた時のことを思い出していた。あの頃は何も分からず、ただ必死に学び、エリオットの言葉を心に刻んだ。そして今、教える立場に立つ自分に、責任感と誇りがじわりと湧き上がってくるのを感じていた。

アリーナは深呼吸をし、エリーナの指示に従って姿勢を整えた。小さな額にうっすらと汗がにじむ。彼女は剣術に不安を抱えていたが、「自分も仲間の役に立ちたい」という強い気持ちが、その小さな体を動かしていた。

傍らで見守っていたアレナ・フェリダが微笑みながら声をかけた。「無理はしなくていいのよ、アリーナ。これは体力をつけて身を守るためのものだからね」アレナは念話の使い手として、アリーナに希望を持っていたが、彼女を無理に追い詰めたくはなかった。

アリーナは小さく頷き、気持ちを新たに剣を構え直した。彼女の手はまだ頼りないが、その目には決意が宿っている。エリーナはその姿を見て、微笑んだ。「いいわ、その調子。焦らずにやっていきましょう」

剣を振るたびに、アリーナの体は少しずつ動きに慣れていった。ぎこちなさは消えないが、その一歩一歩が確実に彼女の力となっていく。エリーナはアリーナの成長を見守りながら、かつての自分が歩んだ道を重ね、彼女の成長が自分たち全員の力になると信じていた。