リディアはフィオルダス家の居間で深呼吸し、心の中で決意を固めていた。隣には夫のマルコムが座り、その静かな眼差しが彼女に安心感を与えてくれる。対面には念話を通じて話し合いに参加しているアレクサンドル、エリオット、そして父ガイウスの声が響いていた。アレナの力を通じた連絡は、距離を超えた絆を感じさせた。
「私たちはこの協力が、フィオルダス家やクレスウェル家だけでなく、エリディアム全体の未来を守るための重要な一歩だと思っています」とリディアが語り始める。彼女の声には微かな震えがあり、それは使命感と家族への深い愛情から来るものだった。
マルコムはその言葉を受け止め、慎重なまなざしで応える。「リディア、君の言葉は重い。だが、フィオルダス家としても今の状況を無視できないのは確かだ。私たちがどれだけの支援を提供できるかを見極めたい」と彼は慎重に話すが、その言葉の裏には家族を守るための決意も宿っていた。
「軍事力だけではなく、情報網の拡充も考慮する必要があります」とアレクサンドルが念話越しに述べた。その声には冷静な戦略家の鋭さが滲んでいた。「互いの持つ強みを活かすことで、月の信者たちに対抗できる連携を築くことができます」
エリオットも続けた。「フィオルダス家の協力は、私たちの技術的な防御策にとっても有益です。私たちが共有する情報は、魔法技術の向上に貢献します」
ガイウスが穏やかな声で語りかけた。「マルコム君、私たちは過去の分裂を乗り越え、この地を守るために力を合わせるべき時だと思います。息子たちの未来、家族の平和を守るためには、今がその時なのです」
マルコムは少しの間、深い沈黙の中で考え込んだ。そしてリディアの手を握りしめ、確固たる声で答えた。「私は協力する。フィオルダス家として、全力を尽くす。だが、家族を危険に晒すことだけは避けたい。最善を尽くそう」
リディアはマルコムの返事に安堵の息を漏らし、念話越しの仲間たちにもその決意を伝えた。アレクサンドルは満足そうに微笑み、念話の繋がりを通じてその微笑みは伝わったようだった。
「これで、私たちは一歩を踏み出せます」とアレクサンドルが言い、会談は終了に向かった。