アレクサンドル、マリアナ、アレナ、リュドミラの4人はロマリウス家へ向かう旅の途中、マリアナがふと提案した。「ねえ、アレック、実家に寄っていきましょう。アレナを紹介しておけば、これからの連絡もきっと円滑になるわ」
アレクサンドルは少し考えた後、微笑んで頷いた。「確かに、その方がいいな。両親にも最新の情報を伝えておく機会にもなるし」
彼らが実家に到着すると、温かい家族の空気が迎えてくれた。母親は笑顔で応接室にアレクサンドルたちを招き入れ、父親は穏やかな目で一行を見守っていた。久しぶりではないが、やはり両親の笑顔を見るとアレクサンドルの心は安堵に包まれた。
「母さん、父さん。これがアレナだ。彼女は念話の能力を持っていて、僕たちの大事な仲間なんだ」とアレクサンドルが紹介すると、アレナは丁寧に頭を下げた。
「初めまして。アレクサンドルさんやマリアナさんと共に、遠くからでもお手伝いできるよう努めます」とアレナが言うと、母親は目を丸くしつつも笑顔を見せた。「念話で連絡ができるなんて便利な力ね。安心するわ」
父親も感心しつつ、「お前たちは本当に多くの仲間に恵まれているな」と深い声で言った。
アレクサンドルは、父の言葉に心が温まるのを感じながら、報告を始めた。「オスカー伯父さんやイザベラも結婚式には呼ぶつもりだ。だから式の日程は少し先になる。でも、この機会に家族みんなで祝いの場を作りたいんだ」
マリアナは、静かに微笑んでアレクサンドルの話を補足する。「私たちの結婚は、新しい未来への第一歩よ。家族としての絆をもっと深めたいの」
母親はそれを聞いて目に涙を浮かべた。「大切な日になるわ。楽しみにしている」
一方、リュドミラは控えめに微笑みを浮かべ、両親に向かって言った。「これから新しい環境で多くのことが変わるかもしれないけれど、私たちは支え合って前に進んでいくわ」
母親はその言葉に小さく頷き、温かな空気が部屋に満ちた。
アレクサンドルたちは最後に両親に別れを告げ、ロマリウス家へと向かう旅路に再び出発した。胸にはそれぞれが抱く期待と少しの緊張を感じながら、新しい未来を見据えていた。