希望の夜明け

襲撃は無事に退けられたが、その余波はクレスウェル家とティヴェリアン家に重くのしかかっていた。負傷者たちが手当てを受ける中、式場には静かな緊張が漂っていた。レオンカトリーヌの手をしっかりと握り、「無事でいてくれて、本当に良かった」と深い安堵の中で囁いた。カトリーヌも微笑んで頷いたが、その瞳にはまだ不安が残っていた。

一方、フィオルダス家のリディアマルコムと共に、襲撃を阻止できたことに胸を撫で下ろしていた。「これが新たな試練だとしても、私たちは乗り越えてみせるわ」とリディアは決意を込めて言った。マルコムはそんな彼女を誇らしげに見つめ、「共に歩もう、リディア」と応じた。

しかし、その平穏は長くは続かなかった。カトリーヌの母レイラが突然声を上げた。「一体どうして、こんな大事な日に!結婚式が台無しじゃないの!」怒りに震える声は部屋の隅々まで響き渡り、出席者たちは困惑の表情を浮かべた。カトリーヌは母の肩をそっと触れ、「お母様、今は無事だったことに感謝しましょう」と静かに説得しようとした。

マルコム・ティヴェリアンはレイラに近づき、穏やかだが毅然とした声で言った。「レイラ、冷静に。今は皆の結束を再確認する時だ。結婚式は終わりじゃない。これからが本当の始まりだ」その言葉にアルバンも頷き、「母上、私たちはこの家族を守るために強くならなければならない」と重ねた。

レイラは息を詰まらせたが、家族の言葉に心を落ち着かせ、深く息を吸い込んだ。「そうね……今は共にいることを喜ばなくてはならないのよね」と、少しずつその怒りを鎮めていった。

その場に立ち尽くすエリーナは、姉リディアの勇敢な姿を思い出し、心の中で誓った。「私もいつか、皆を支える力になりたい」と。