夕暮れのエリディアム郊外に、リディア・クレスウェルと黎明の翼の仲間たちは静かな道を歩いていた。エリディアムに戻るのは久しぶりで、任務を終えて気が緩む中、彼女は懐かしい景色に視線を向けていた。
「まさかここで会えるとは……リディア!」
背後からの声に振り返ると、幼なじみのタリア・アヴェリスが立っていた。タリアはかつて兄妹とともに無邪気な冒険ごっこに明け暮れた、親しい友人だった。
クレスウェル家の庭で、幼いリディアは木の枝を剣に見立てて無邪気に振り回していた。「見てて!私がみんなを守るから!」と声を張り上げるリディアに、レオンは苦笑しながら「無茶するなよ」と声をかけた。小さなエリーナはリディアの後ろを追いかけながら、「お姉様、私も戦う!」と勇敢に枝を握りしめている。
タリアは、そんな3人の姿を微笑ましく見守り、「いつか本当に一緒に冒険に出ようね」と言ってくれた。4人の心は純粋に結びついていたが、次第にそれぞれの道を歩み始め、子供の頃の約束は忘れられていったかのように思えた。
「リディア、こんなところでまた会えるなんて!」タリアの懐かしさに満ちた表情を見て、リディアも微笑んで返した。「久しぶりね、タリア」
タリアはリディアの剣士としての凛とした姿に目を見張り、「あなたがこんなに立派になったなんて信じられない」と感慨深げに言った。
「昔の私と変わらないよ、無茶ばかりして、兄さんにもよく怒られてる」リディアは照れくさそうに肩をすくめた。
その会話に割って入るように、レオンが声をかけた。「リディアの無茶ぶりは昔からだ。少しは成長してもいいんじゃないか?」彼の表情には、心配と優しさが込められていた。
タリアも懐かしそうにレオンに微笑んだ。「本当に。レオンも相変わらず冷静ね」
エリーナもそばに寄り、優しくタリアに微笑んだ。「タリア、昔よく一緒に遊んだこと、まだ覚えてる?」
「もちろんよ。あなたも立派になったのね」とタリアが感心したように頷いた。
リディアの心に、幼い頃の約束がふと蘇った。「タリア、あのとき『一緒に冒険しよう』って言ったよね?」
「ええ、覚えてるわ」とタリアは微笑んだ。「リディア、今でもその約束を叶える覚悟はあるの?」
リディアは一瞬言葉を失ったが、次第に真剣な表情で頷いた。「タリア、私は家族のために、この道を進む覚悟を持っている。でもその途中で……君の支えがあれば、きっともっと強くなれる」
レオンがその会話をじっと見守り、「俺たち兄妹はどんな状況でも一緒だ。リディア、君が何を選んでも、俺は支える」と優しく語りかけた。
エリーナも力強く、「お姉様もタリアも、私が守る!」と笑顔で宣言した。
こうして再会の喜びを分かち合い、かつての約束を果たすための新たな覚悟が彼らの間に芽生えた。どれだけの時が過ぎようとも、兄妹とタリアの絆は強く結ばれ、彼らはそれぞれの道を歩みながらも、新たな冒険への思いを胸に抱いていた。