クレスウェル邸では、レオンを中心にエリオット、リュドミラ、アリーナ、セシル、エミリア、ミカエルが会議室に集まり、情報が共有された。カストゥムの拠点にはアレクサンドル、アレナ、カリス、マリアナが集まり、アレナの念話によって双方がリアルタイムで会議を行っていた。
レオンは集めた情報をもとに報告を始めた。「今回の接触で、月を純粋に信仰する者たちの姿を見た。彼らは私たちと同じく、ただ信じるものに希望を求めている。無闇に敵対して彼らを巻き込むべきではない」と力を込めて言った。
その言葉を受け、カストゥムにいるアレクサンドルが念話で返す。「私たちは効率的に敵を分断しなければならない。しかし、無差別に敵を作ってはいけない。リディアが言ったように、誠実に月を信仰する人々を守りながら進む道を見つけよう」
すると、エリオットが低い声で念話を通じて反論した。「アレック、それは理想論だ。純粋な信者を守るというのは理解できるが、戦略には厳しい判断が必要だ。敵勢力を弱体化させるためには犠牲を伴うことも避けられない。甘い考えが全体の危機を招く可能性もある」
部屋に緊張が走り、エリディアムのリュドミラが視線を落とした。「エリオットの言うこともわかるわ。だけど、慎重に進める方法もあるはず。誰もが戦いで傷つくわけではない道を探せるはずよ」
アレクサンドルは沈黙し、冷静さを保ちながらも内心で葛藤を抱えていた。「確かに、戦略的に強固な選択が求められるときもある。しかし、私たちは信念を忘れてはならない。戦いは手段であって目的ではない」と語った。
エリオットは一瞬視線を逸らし、念話を介してうなずいたものの、その表情はまだ厳しかった。「わかった。だが、戦略を柔軟に見直すことを忘れるな」と警告めいた言葉を残した。
フィオルダス邸にいるリディアも優しく念話を通じて加わった。「私たちは守るべきものを見失わないようにしなくてはね。誰も犠牲にならない未来を信じて進みましょう」とその声は、希望と覚悟を秘めていた。