新たな旅路への重圧

リディアの結婚式のためにエリディアムへの出発が近付いていたカストゥムの一角、アレクサンドルマリアナとともにエルドリッチ商会の大きな執務室にいた。伯父オスカーは重厚な机越しに座り、鋭い眼差しで彼を見据えていた。机上には地図や手紙の束が広がっており、いかにも商会の指導者としての威厳を漂わせていた。

オスカーは、慎重な口調で語りかける。「アレクサンドル、エリディアムに行けば、貴族や商人たちと顔を合わせる機会が多いだろう。そこではお前の立ち振る舞いが重要になる。今後、エルドリッチ商会が彼らと協力関係を築けるかどうかは、お前が初対面でどれだけの印象を与えられるかにかかっているんだ」

アレクサンドルはその言葉を真剣に受け止め、深く頷いた。商会に正式に所属したばかりの自分が、いかに責任ある役割を担わなければならないか、痛感していた。これからの彼の行動が、商会の将来を左右するのだ。

「伯父上、心して臨みます。しっかりと私の役目を果たし、商会のために信頼を築いてきます」と決意を込めて答えるアレクサンドルの目は、揺るぎない意志に満ちていた。

マリアナはそんな彼の横で穏やかな表情を浮かべつつも、内心では彼の重圧を思いやっていた。「私もアレックと一緒に、精一杯支えるわ」と優しく微笑みかける。彼女の支えがあることが、アレクサンドルにとってどれほど心強いことか。

オスカーはそんな二人を見て、少しだけ顔をほころばせた。「期待しているぞ、アレクサンドル。今こそエルドリッチ商会の名前を背負う覚悟を見せてくれ」

旅立ちの準備が進む中、アレクサンドルはオスカーの言葉を胸に刻み、重責を背負う者としての覚悟を新たにするのだった。