結婚式の翌日、クレスウェル邸の大広間には、家族と信頼する仲間たちが集まっていた。レオンとカトリーヌは結婚の喜びを噛みしめつつも、その表情には昨日の襲撃の余韻が影を落としていた。重厚な木のテーブルを囲む人々の顔には、期待と不安が入り混じっている。
アレナの姿は念話の能力によって映し出されており、その額には少し汗がにじんでいた。「参加者が多いと、念話の集中が大変ね」と、少し疲れた笑みを浮かべる。
「アレナ、無理をしないで」とリディアが心配そうに声をかけた。彼女の穏やかな目は、昨日の剣を取った時とはまた違った温かさを宿していた。
レオンは軽く頷いてから、静かに話を切り出した。「皆さん、昨日の結婚式においては、多くの危険を乗り越えて無事に終えられたことに感謝します。特にカトリーヌ、君の勇気には改めて感謝したい」
カトリーヌは微笑みながらも、レオンの手を握り返した。「私もあなたと共に新しい家族となった以上、この運命を共に背負うわ」
アレクサンドルの声が念話を通じて響く。「レオン、カトリーヌ、昨日は本当におめでとう。そして、無事に終わったことを誇りに思う。これからも共に戦っていこう」
マリアナも続けて優しい声で語りかけた。「クレスウェル家はこれまでの困難を乗り越えてきた。私たちも、いつでも力を貸すわ」
リュドミラの声には、いつもの茶目っ気が少しだけ含まれていた。「まあ、私は遠くから応援するけれどね。無理はしないでよ」
その後、ガイウスが話の中心に立ち、重い空気を感じ取りながら口を開いた。「フィオルダス家やクレスウェル家が置かれている状況について、マルコム殿とカトリーヌにもお伝えしなければならない。我々は月の信者たちという影の脅威と長く対峙してきた。昨日の襲撃はその一端に過ぎない。これからも、我々は油断できない立場にある」
マルコム・フィオルダスは頷き、目を細めて話に耳を傾けた。「ある程度の覚悟はしていたが、これほどまでとは……。だが、リディアがこの家族を守るために戦う姿を見て、私もフィオルダス家としての誇りを持たなければならないと感じた」
その説明を聞き、カトリーヌは驚きと共に一瞬目を見開いたが、すぐに表情を引き締めた。彼女はレオンを見つめ、意志の強さが瞳に宿った。「そうね。私はもうクレスウェル家の一員。この運命を受け入れて、共に戦う覚悟を決めたわ」
エリーナはカトリーヌを見つめ、微笑んだ。「それが私たちの強さよ。家族として、共に歩んでいくために」
会議は次第に和やかさを取り戻し、希望の光が差し込むように感じられた。それぞれが新たな決意を胸に抱き、クレスウェル家とその絆がまた一つ強くなった瞬間だった。