暗号作戦と通信準備

カストゥムの日が暮れ始めた頃、エリオットエリーナカリスレオンアレナ・フェリダリュドミラは再び会合を開いた。今回の話題は、通信手段に加え、情報漏洩を防ぐための暗号化作戦だった。

アレナが地図を片付けて、持ってきた羊皮紙を広げながら言った。「私たちの情報が敵に渡る危険性は常にある。だから、伝書鳩や伝令を使うときは、必ず暗号化するべきよ」

「どんな暗号にするの?」エリーナが尋ねると、アレナは羊皮紙を指しながら説明した。「原始的だけど有効な方法を考えたわ。まず、単一換字式の暗号を使う。これは、アルファベットの文字を別の文字に置き換えるものよ。でも、それだけじゃ簡単に解読されるから、いくつかの暗号表を用意するつもり」

レオンが頷いて、「その暗号表をどう切り替えるかがポイントだな。もし敵に表が一つでも渡ったら、全部解読されかねないからな」

「そこは工夫が必要ね」アレナは続けた。「毎日、暗号表を切り替えるルールを決めておくの。それに、使用する暗号表は事前に合図で伝えるの。例えば、伝書鳩が送られる際に一緒に隠語を使った合図を付け加えることで、どの暗号表を使うか知らせる」

カリスが笑いながら「隠語か、それは盗賊時代に使ったことがあるな」と言うと、リュドミラも微笑んで、「具体的にはどんな隠語を考えているの?」と尋ねた。

アレナが指を折りながら説明する。「例えば、『月が赤い』という合図は暗号表A、『風が強い』は暗号表B、といった具合にね。これで、たとえ手紙が敵に渡っても、暗号表がなければ解読は困難よ」

「でも、万が一のために、隠語も定期的に更新しないといけないね」エリオットが真剣な表情で提案した。「敵がこちらの暗号化方法に気付いたら、それを逆手に取られる可能性もあるから」

エリーナは感心しながら、「本当に戦術を練るのは難しいわね。でも、これで私たちの情報は少しでも安全に守れるはず」と話すと、みんなが頷いた。

こうして、仲間たちはカストゥムを守るための通信体制をさらに強化する準備を進めた。情報が漏れることなく、迅速に共有できるようにと、暗号表と隠語を使った作戦は大きな一歩となるはずだった。