灯台もと暗し

エリーナはこの数日、人材探しに奔走しながらも、どこか焦燥感を抱いていた。街中を巡り、新しい仲間を見つけようと懸命に動いていたが、ふと気づいた。自分たちのすぐそばにいる友人たちこそ、力を貸してくれる存在なのではないかと。

「今は結婚の準備で忙しいかもしれないけど、セシルエミリアならきっと頼りになるはず……」エリーナはそんな考えが浮かび、早速二人に相談することを決めた。セシルとエミリアのもとを訪ね、状況を説明すると、二人は快く耳を傾けてくれた。

セシルは、少し微笑んで言った。「エリーナ、きっとレティシア・ノルヴィスなら力になってくれるよ。彼女には私から取り次ぐよ」だが、その言葉に続けて少しだけ不安そうな表情を見せた。「ただ……アレックにとっては、少し気まずいかもしれないけどね」

その一言に、エリーナはハッとした。そうだ、アレクサンドルとレティシアは以前、恋仲だったのだ。しかし、アレクサンドルはマリアナと結婚することになり、レティシアはその関係に身を引いたのだ。恋は必ずしもうまくいくわけではない――その現実が胸に刺さり、エリーナはふとエリオットへの自分の思いを考えた。好きな人がいても、その想いがどんな未来に繋がるかは誰にも分からない。

エリーナは少し不安を感じながらも、セシルとエミリアの幸せそうな様子を見て胸が温かくなった。自分にもいつかそんな日が訪れることを夢見つつ、今はただ仲間たちのためにできることをしようと心に誓った。