会議の行き詰まりを打開するため、レオンは、クレスウェル邸の一角で考えを巡らせていた。セラフィナからの情報提供で、セリーヌ・アルクナスが皇族の血を引いている可能性が示唆されたが、真実を確かめるにはさらなる裏付けが必要だった。
「灰燼の連盟に詳しい者がいるとすれば、レオニード・バルカンだ」とレオンは思案した。彼はレオニダス家の長男としてエリディウムの貴族社会に深く根付いており、セリーヌの家系について何らかの情報を持っているかもしれない。彼自身がその出自を知っている可能性が高かった。
レオンはすぐに行動を起こす決意を固め、リュドミラに計画を伝えた。「レオニードに接触する。彼なら、セリーヌの背景について知っているはずだ」
クレスウェル邸の会議室で仲間たちが静かに見守る中、リュドミラが灰燼の連盟への接触を試みる。念話の技術を持つアレナも遠隔から支援し、連絡の調整が進む。数時間後、ついにレオニード・バルカンとの対話が実現した。
レオニードは真剣な表情で語り始めた。「セリーヌの母方がエリディウムの皇族と繋がっていることは、長年秘密にされてきた。しかし、それを明かすべき時が来たかもしれない。彼女は戦士としてだけでなく、象徴的な存在にもなり得る」
その言葉を聞いたリュドミラは、慎重に息を整えながら質問を続けた。「彼女自身はその出自を認識しているのでしょうか?」
レオニードは短い沈黙の後に頷いた。「知っている。だが、その役割を引き受けることには迷いがある。しかし、現状を見て彼女は心を動かすかもしれない」
その情報を念話でアレクサンドルに伝えると、彼は深く頷き、「この情報があれば、次の戦略が大きく動く」と応じた。リュドミラは、これからの動きに期待と不安を抱きつつ、レオニードに感謝の意を示した。