広間に再び集まった黎明の翼と灰燼の連盟の代表者たち。アレクサンドルは、淡々とした表情の中に微かに達成感を滲ませ、リューシスの報告に耳を傾けていた。月の信者たちの内部で生じている混乱は予想を超えるもので、計画が成功したことは明らかだった。
「奴らが疑念を抱き始めたようだ。内部の秩序が揺らぎ、動きが鈍くなっている」とリューシスは満足げに口元を歪める。策略家としての自負が、その声にはっきりと滲んでいた。
「よくやった、リューシス。だが、次の手を考えなければならない」とアレクサンドルは言いながら、視線を周囲に巡らせた。彼の冷静な目は仲間たちの顔を捉え、一人ひとりの反応を確認するかのようだった。
アリーナは自分の心臓が高鳴るのを感じつつも、静かに頷いた。自分が念話で情報伝達を成功させたことが、今回の作戦の鍵だったと知っていた。胸の内に誇りと少しの自信が生まれ、彼女は新たな挑戦への覚悟を固めていた。
そのとき、遠隔からの念話が響く。「作戦は有効だった。しかし、月の信者たちはただ混乱に甘んじるわけではない」とセリーヌ・アルクナスの冷静な声が全員に届く。彼女は緻密な分析を続け、「次に動くのは奴らの反撃が始まる前だ。こちらからさらなる攻勢をかける準備が必要だ」と提案した。
アレクサンドルはその言葉に微笑を浮かべることはなかったが、内心では次の一手を考え始めていた。彼の心には、信念と共に計画の糸が幾重にも絡み合い、戦略が形をなしていく。
リューシスは彼の鋭い視線を受け、再度うなずいた。「この勢いを保つべきだ。次の手も考えておこう」
会議の空気は張り詰めた緊張と未来への決意に満ちていた。