カストゥムの夕暮れ、街に広がる夕闇とともに、アレクサンドルとリディアは静かに人気の少ない路地へと足を運んでいた。彼らはその先に住むという噂の魔法使い、エリオット・ルカナムと接触するためにここまで来ていた。エリオットはその若さにもかかわらず、特異な魔法の才能で知られた人物だ。
「彼の魔法の力が、私たちの目的に必要だと?」リディアが低く尋ねる。
「彼には特殊な知識と力があるらしい。私たちがこれから対峙する敵にも、きっとその知恵が必要だろう」アレクサンドルが答える。
二人が古びた建物の扉を叩くと、音もなく開いた。中には、無数の本と魔道具が整然と並んでいる。そこに立っていたのは、若くも鋭い眼差しを持つエリオット・ルカナムだった。彼は彼らを見て、口元に小さな微笑を浮かべた。
「お二人とも、お噂はかねがね伺っていますよ。私にどのようなご用件でしょうか?」
アレクサンドルが冷静に答える。「君の力が必要だ、エリオット・ルカナム。私たちはある敵に立ち向かうため、仲間を探している」
エリオットはその言葉を興味深そうに聞き、アレクサンドルとリディアを順に見つめた。「なるほど、ですか。しかし、私は簡単に他人に力を貸すタイプではありません。あなた方が信用に値するか見極めさせていただきます」
リディアが少し前に出て、真剣な眼差しで彼を見つめた。「私たちは、ただ戦力を集めているわけではない。あなたの知恵と力を信じるからこそ、ここに来たのです」
エリオットは少し驚いたように彼女を見返したが、すぐに落ち着いた表情に戻った。「ふむ、そうですか。ならば、私の魔法があなた方の使命に必要であると示していただけますか?あなた方が持つ信念が本物ならば、私はその道に同行してもよいと思っています」
アレクサンドルはその言葉に小さく頷いた。「我々の信念と覚悟を、これからの行動で証明しよう。そして君もその目で確かめてほしい」
エリオットは再び微笑みを浮かべ、静かに手を差し出した。「分かりました。あなた方と共に進み、その信念がどれほどのものかを見させていただきます」
こうして、実利ではなく知識と探求を求める魔法使いエリオット・ルカナムが、アレクサンドルとリディアの仲間として迎え入れられることとなった。その瞬間から、彼らは共に未知なる力に挑む運命を歩み始めた。