ロマリウス邸の庭園は、見事な装飾と花々で彩られ、まるで祝福そのものが形を成したかのように輝いていた。音楽が優雅に流れる中、ゲストたちは美しく着飾り、式典の始まりを心待ちにしていた。
アレクサンドルは重厚なアウレリアの伝統的な礼服を身にまとい、冷静な面持ちで立っていた。だが、その瞳にはいつもよりも少し深い決意が宿っていた。隣に立つマリアナは、柔らかな微笑みを浮かべつつも、その表情には緊張が見え隠れしていた。彼女の短いブロンドの髪は、朝の光を受けて金色に輝いていた。
「緊張しているか?」とアレクサンドルが小声で尋ねると、マリアナは微笑んで首を振った。「少しだけ。でも、あなたがいるから大丈夫」
彼の手がそっと彼女の手を包み込み、そのぬくもりがマリアナの心を落ち着かせた。その一瞬、二人の間に言葉以上の絆が流れた。
しかし、式の華やかさの背後では、警戒が厳しく張り巡らされていた。アレナは一角に立ち、周囲を見回していた。彼女は静かに念話で警備員たちに指示を送りながら、緊張の糸を緩めることなく様子を見守っていた。
「異常はないか?」リュドミラが鋭い視線で尋ねると、アレナは「今のところ問題はないわ」と短く答えた。
式が進行し、アレクサンドルとマリアナが誓いの言葉を交わす瞬間、空気は一層静まり返った。二人の声が響く中、周囲の仲間たちもそれぞれの感情を胸に秘めながら見守っていた。エリディアムでのフィオルダス邸襲撃を受け、みな心の奥底で警戒心を忘れなかったが、同時にこの瞬間の輝きを見守りたいという強い思いがあった。
アレナはふと遠くの木々に影が動くのを捉え、眉をひそめた。「念のため、周囲をもう一度見回って」と彼女は念話で伝え、警備を強化した。
一方で、誓いを交わすアレクサンドルとマリアナの姿は、希望と愛に満ちていた。暗雲は漂っていたが、二人を包むその光景は、未来への希望を象徴していた。
式が終わり、仲間たちの笑顔と祝福の声が溢れる中、警備体制は緩むことなく続いた。いつ何が起きても不思議ではないこの状況下で、彼らは互いに力を合わせ、未来を守る決意を胸に秘めていた。