響き渡る詩:リューシスとアレクサンドルたちの出会い

カストゥムの市場は、いつも活気に満ちていた。商人たちの声が響き渡り、様々な人々が行き交う中、広場の一角で人々が集まっていた。そこには、詩を吟じながらリュートを弾く男がいた。彼の名はリューシス・フィデリス。彼は各地を旅しながら物語を語り、音楽を奏でる吟遊詩人だった。


アレクサンドル・ヴァン・エルドリッチと彼の仲間たちがその場に足を止めたのは、彼の詩があまりにも美しく、聞き入らずにはいられなかったからだ。リューシスの声は澄んでおり、彼の指先から紡がれる旋律はどこか懐かしく、それでいて力強かった。彼の詩には、古代の英雄たちや失われた王国の物語が織り交ぜられていた。

その演奏が終わると、群衆から拍手が起こり、リューシスは微笑みながら頭を下げた。アレクサンドルはその演奏に心を打たれた一人で、彼に歩み寄ると声をかけた。

「素晴らしい演奏だった、リューシス。こんなに多くの人を惹きつける詩を吟じるとは、君はただの吟遊詩人ではないだろう?」

リューシスは目を輝かせて答えた。「ありがとう、友よ。私はただ、旅の中で出会った物語や詩を歌い、人々に喜びを届けたいだけだ。君は、少し他の者とは違う雰囲気を持っているようだが、何か探しているのかい?」

アレクサンドルは少し驚いた様子でリューシスを見つめたが、すぐに笑みを浮かべた。「探しているのは確かだが、君がその手助けをしてくれるかもしれないと思っただけさ」

リューシスはその言葉に興味を示し、「ふむ、私の物語が役立つなら喜んで協力しよう。しかし、君の話も聞かせてくれないか?新たな物語を知ることが私にとって何よりの喜びだからね」


その後、アレクサンドルたちはリューシスと共に市場の外れにある静かな酒場へと向かい、彼らの物語を語り合った。アレクサンドルの話にリューシスは興味深そうに耳を傾け、その後の道中に彼も同行することを提案した。彼の詩が仲間の士気を高めることはもちろん、彼の知識やネットワークもアレクサンドルたちにとって有益なものとなるかもしれない。

「私は旅する詩人。どこにでも行き、どこにでも物語を届ける。君たちと共に歩むのもまた、面白い経験になるだろう」リューシスはそう言って、にこやかに笑った。

こうして、リューシス・フィデリスはアレクサンドルたちと初めて出会い、彼らと共に新たな冒険へと足を踏み入れることになった。彼の詩は、彼らの旅を彩る新たな音色となり、彼らの行く先々で響き渡ることとなる。