アリーナの決意と新たな役割
カストゥムに到着し、一行が一息ついた頃、リュドミラ・アラマティアは妹アリーナをそっと見つめ、柔らかな声で問いかけた。「アリーナ、あなたがここまで来た理由を教えてくれる?」
アリーナは少し戸惑いながらも頷き、毎夜見ていた夢について話し始めた。「お姉さん、私はずっと不思議な夢を見ていたの。暗闇の中に古代の魔法の光が差し込んで、何かが私に語りかけてくるような……それが気になって、どうしても来なきゃいけないと思ったの」
リュドミラは妹の言葉に深く考え込んだ。アリーナを守りたい気持ちはあったが、状況を聞く限り、ただ遠ざけるだけでは済まされないことを悟った。
その時、レティシア・ノルヴィスが話に割って入った。「古代魔法の話ね。それは興味深いわ。アリーナ、もしかするとその夢は現実と繋がっているかもしれないわね」レティシアの瞳には鋭い知識への興味が宿っていた。
さらに、レティシアは先日の出来事を思い出しながら言葉を続けた。「それに、私たちは最近月の信者と思われる集団に襲撃されたわ。この夢と何か関係があるのかもしれない」
一同は深刻な表情を浮かべ、アリーナの夢と最近の出来事の関連性について話し合った。しばらくして、アレナ・フェリダがアリーナに目を向け、柔らかく言った。「アリーナ、今の状況を少し説明するわね」
アリーナは初めて聞く詳細な情報に驚きながらも、黙って聞いていた。月の信者たち、クレスウェル家の苦境、そして彼らが直面している危険な戦い――それは思っていた以上に深刻なものだった。
「そういうことなら、私も一緒に戦うわ!」アリーナは決意に満ちた声で言い放った。
その言葉にアレナが少し微笑み、「でも、剣を取って戦うよりも、あなたは念話の能力を磨くべきよ。それが私たちにとって一番助かることなの。実際、私の念話はすでにみんなにとってなくてはならないものになっているの。あなたが使い手として加われば、私たちは戦いを圧倒的に有利に進められるわ」と助言した。
リュドミラも同意し、「アリーナ、念話の使い手が増えることは大きな意味があるわ。あなたの力はまだ未知数だけど、きっと役立つはずよ」と安心させるように言った。
アリーナは一瞬黙り込み、その後小さく頷いた。「わかったわ。念話を磨いて、みんなを助けるために頑張る」
部屋には決意が漂い、新たな力が加わったことに仲間たちは小さな希望を感じた。これからの戦いに向け、彼らはさらに強く結束していくのだった。