エリオットとエリーナの覚悟と家族の試練
エリオットとエリーナは、意を決してエリーナの両親にこれからのことを相談しようと、クレスウェル邸の応接室に入った。エリーナの父、ガイウスは厳しい面持ちで二人を見つめ、母のアンナは少し不安げながらも温かく二人を迎えた。レオンも同席しており、妹とエリオットを静かに見守っている。
ガイウスはまずエリオットに視線を向け、低く落ち着いた声で言った。「エリオット君、エリーナの未来を預ける相手として、君の真剣さは理解している。しかし、君が貴族や騎士、大商人でもないとなれば、娘の将来を考える上で不安を感じざるを得ない」
エリーナが心配そうにエリオットを見上げる中、エリオットは深呼吸して一歩前に進み出た。「ガイウス様、確かに私は家柄や財産に頼れる立場ではありません。けれども、エリーナを守り、彼女と共に未来を歩む覚悟は誰にも負けません。それをどうか信じてほしいのです」
その場に静けさが漂う中、レオンが毅然とした態度で父に言葉を重ねた。「父上、エリオットは黎明の翼の一員としてエリディアムを守り、何度も命を懸けて戦ってきました。エリーナの選択を尊重することが、彼女の幸せを考える上で重要だと思います」
ガイウスは考え込むように目を閉じ、しばらくの沈黙のあとで再びエリオットを見つめた。「……君の真剣な気持ちはわかった。しかし、この問題は簡単に結論を出せるものではない。エリーナの将来を託す相手として、君が本当に相応しいかどうかを見極めたい。しばらくの間、その覚悟を行動で示してくれ」
エリオットはその言葉に深く頷き、「はい。必ずや自分の覚悟を証明します」と力強く答えた。アンナはエリーナの手をそっと握り、「あなたの幸せを一番に考えているわ。どんな未来を選ぶにしても、私たちはいつも見守っているからね」と優しく語りかけた。
エリーナは母の言葉に安堵し、エリオットとともに感謝の気持ちを伝える。家族としての信頼と絆が試される中、二人は新たな一歩を踏み出す決意を固めるのだった。