エリオットの研究と新たな技術共有
カストゥムの拠点で、エリオットは書物と資料に囲まれた机に向かっていた。周囲にはアルカナの灯火から得た情報や魔法の巻物が広げられ、蝋燭の明かりがその顔に陰影をつけている。彼の目は集中しており、指先は細かい魔法陣を描きながら動いていた。
エリーナがふと、彼の背後から声をかけた。「ずいぶん熱心ね、エリオット。進展はある?」
エリオットは微笑みを浮かべることなく、手元から視線を外さずに答えた。「防御魔法の技術は確かに複雑だけど、アルカナの灯火の理論が役立っている。これを拠点の防御に組み込めれば、我々の防御は一段階上がるはずだ」
リュドミラはその様子を静かに見守っていた。彼女の視線には一種の誇りと安心があった。「あなたの努力で、みんなが少しでも安全になるのなら、それ以上のことはないわ」
そのとき、アリーナが入ってきた。まだ慣れない剣術訓練で顔が赤く、息を切らせている。彼女はエリオットに興味津々の様子で近づき、「私の念話能力を試すんでしょ?」と尋ねた。
アレナは軽く頷きながら、アリーナを見つめた。「そうよ。あなたの念話はまだ未熟だけれど、実戦で役立つかどうかを試してみる価値はあるわ。もしこれが防衛魔法と連携できれば、戦略の幅が広がるわね」
エリオットは顔を上げて、アリーナに目をやった。「君の力が加われば、新しい防御の試みが現実になるかもしれない。安心して、私たちが君をサポートする」
その言葉にアリーナは胸を張り、小さな声で「頑張ります」と呟いた。彼女の瞳には緊張と期待が混じっている。彼女ができる限りの努力で仲間の力になりたいと心から思っているのが、その表情から伝わってきた。
一同は新しい試みに挑戦しながら、互いの存在を確認し合い、未来への小さな希望を感じていた。研究と技術の共有は、彼らの絆と防衛の力を強めていく第一歩となったのだった。