カストゥムの陰謀
カストゥムの市場は活気に満ち、人々のざわめきと商人たちの声が混じり合っていた。サラ・ルカナムとレティシア・ノルヴィスは、情報収集のために街を歩いていた。最近の月の信者たちの動きや灰燼の連盟に関する情報が必要だった。
「サラ、聞いて。このあたりの噂話で、何か奇妙なことを言っている人たちがいるわ」レティシアが目を光らせて小声で話しかけた。
「何かしら?気になるわね」サラは立ち止まり、レティシアの視線を追った。そこで見たのは、怪しげな男たちがひそひそと話し合っている姿だった。
二人はその男たちを追い、人気の少ない路地に入った。すると、突然背後から足音が響き、鋭い声が飛んできた。「あんたたち、何をしている?」
振り返ると、武装した数人の男たちが二人を囲んでいた。その中の一人は、月の信者たちのシンボルを刻んだブローチを胸に光らせていた。
「これはただ事じゃないわね」レティシアは冷静な顔を保ちつつ、サラに目配せをした。サラは微かに頷き、二人は同時に防御の姿勢を取った。
「ここで話を聞かせてもらおうか」男の一人が嘲笑を浮かべながら近づいてきたが、その時、サラは素早く魔法の呪文を唱え、薄い結界を張った。男たちは驚きつつも即座に反応し、攻撃を試みた。
「行くわよ、レティシア!」サラが声を上げると、レティシアもまた持ち前の戦闘技術で反撃を開始した。二人は協力して敵の包囲網を切り崩し、激しい攻防が路地に響いた。
やがて、数人の男たちが倒れ、残りが怯んで後退した。「これで終わりじゃないぞ…」捨て台詞を残し、男たちは闇の中へと消えていった。
戦いの緊張が解けた瞬間、サラは息をつき、「何とか切り抜けたわね。だけど、私たちが何か大きな陰謀に巻き込まれていることは間違いない」
レティシアも頷き、「彼らは何かを隠しているわ。これからはもっと警戒が必要ね」
二人は再び市場へと戻りながら、これからの動きについて考えを巡らせた。カストゥムの街は、見えない陰謀と危険が渦巻く場所となっていた。