ロマリウス邸からの旅立ち
アルヴォラ郊外の静寂を破るように、ロマリウス邸では出発の準備が整っていた。アレクサンドル・ロマリウスは深呼吸をして邸宅を見つめた。ここでの時間は大切だったが、今は次の行動を起こすときだ。隣には妻のマリアナ・ロマリウスが立ち、心強い眼差しを彼に送っていた。
「準備は整ったな?」リュドミラ・アラマティアが肩に背負った装備を軽く叩きながら言った。彼女の鋭い目は、旅立ちの決意を秘めていた。
アレナ・フェリダは軽く頷き、念話の準備を始めた。澄んだ灰色の瞳が集中の光を帯び、彼女の意識が遠くカストゥムへと飛ぶ。「サラ・ルカナム、聞こえる? こちらはアレナ。これからカストゥムに向かって出発するわ」
しばらくの間、静寂が続いたが、次第に念話の中でサラの声が届いた。「アレナ……無事にこちらに向かってくるのね。知らせてくれてありがとう。ところで、エリオットたちは?」
アレナは微笑を浮かべ、「サラ、エリオット、エリーナ、カリス・グレイフォークもカストゥムに向かっているの。私たちも合流して、そこを拠点に活動を始めるつもりよ」
サラの声は驚きと喜びで高まった。「そうなの?エリオットがこちらに来るなんて、本当に嬉しいわ。みんなの無事を祈っている」
アレナは念話を終え、アレクサンドルたちを見て小さく頷いた。「サラも待っているわ。エリオットたちが来ることを知って、喜んでいた」
アレクサンドルは全員に目を配り、「よし、出発だ。私たちはカストゥムで新たな基盤を築く。そのためにも無駄な時間は過ごせない」と言葉を発した。
マリアナは一歩先に立ち、振り返って穏やかに言った。「行きましょう。ここからが本当の始まりよ」
アレナとリュドミラもそれに続き、ロマリウス邸を背にして歩み始めた。4人の背中を朝の光が照らし、新たな冒険への期待と決意がその姿に映し出されていた。