仲間との再集結
アレクサンドルとマリアナがロマリウス家での任務を終え、カストゥムに戻ったのは、朝早くのことだった。彼らが宿舎の門をくぐると、待ち構えていたエリオットとエリーナが笑顔で迎えた。
「やっと帰ってきたな、アレック!」エリオットが軽く肩を叩くと、アレクサンドルは少し疲れた表情を浮かべながらも、ほっとしたように微笑んだ。「ただいま。色々進んだらしいな。聞かせてくれ」
エリーナは、隣で静かに微笑むマリアナに目をやり、「おかえりなさい、マリアナさん」と優しく声をかけた。マリアナも微笑み返し、「ただいま、エリーナ。みんなのおかげで、ようやく一段落したわ」と感謝の気持ちを込めて応えた。
会議室に集まると、エリオットはこれまでの進展を報告し始めた。「通信手段は整ってきている。伝書鳩の手配も済んだし、暗号表の運用方法も決まった。簡単なものだが、今の私たちには十分な対策だ」
アレクサンドルは真剣なまなざしでうなずく。「すまない、僕が不在の間に負担をかけたな。だが、おかげで準備は順調に進んでいるみたいだ」
カリスが手を挙げて笑いながら言った。「ま、俺たちも自分の仕事を楽しんでるさ。けど、やっぱりリーダーが戻ってきてくれて安心したよ」
アレクサンドルはその言葉に感謝しながら、心の中で自分の決意を強くした。彼がエルドリッチ商会の当主になる責任を抱える一方で、仲間たちと共に戦いに備えなければならない。その両方をこなす覚悟を固めたのだ。
そのとき、セシルとエミリアが現れた。エミリアは幸せそうに微笑みながら、アレクサンドルたちに結婚式の招待状を手渡した。「ぜひ二人とも来てほしいの。大切な日だから、みんなと一緒に迎えたいわ」
「おめでとう、セシル、エミリア。僕たちも心から祝福するよ」とアレクサンドルが応えると、セシルは少し冗談っぽく付け加えた。「まあ、アレックにとっては少し気まずいかもしれないけどな」
その言葉にエリーナはハッとし、かつてのアレクサンドルとレティシアの関係を思い出してしまった。恋愛が必ずしも望む結果になるわけではないことを実感し、自分が抱えるエリオットへの想いに不安がよぎった。しかし、彼女はその感情を胸にしまい、前を向こうと決意した。
マリアナはアレクサンドルの隣で彼の手を握り、彼にそっと言った。「これからも、私はあなたと共に進んでいくわ。どんな未来が待っていても、ね」
アレクサンドルはその言葉に深く頷き、改めて強い決意を胸に抱いた。そして、エルドリッチ商会への所属手続きを進めることを心に決め、仲間たちと共に歩み始めるのだった。