協力への決意
協力への決意
広間に静かな緊張が漂い、参加者たちはそれぞれの席で深い考えに沈んでいた。アレクサンドルは会議の中心に立ち、視線を仲間たちに巡らせる。彼の目には、戦略を成功させるという決意が刻まれていた。遠隔地から念話でつながるアレナの冷静な声が、会議の流れを整理し、情報を再確認させる。彼女の念話は、複雑な議論の中で指針を示す光となっていた。
「防御に関して、新しい手法を試してみようと思う」とエリオットが静かに切り出した。彼の声には冷静さがあり、同時に内なる興奮も隠されていた。「月の信者たちの動きを牽制するために、魔法のバリアをさらに強化し、情報撹乱を防ぐ仕組みを取り入れるつもりだ。これが成功すれば、私たちの防御は一段と盤石なものになるはずだ」
この提案に、リディアの心には小さな光がともった。仲間として、そして戦う一人として、彼女は守るべきものを心に刻んだ。視線をアレクサンドルに向けると、彼の表情には緊張と誓いが読み取れた。アレクサンドルもまた、仲間を守るために何をも失わない覚悟があるのだと改めて実感した。
その一方で、セリーヌ・アルクナスは冷静な顔で議論を見守りつつも、内心では微妙な緊張を抱えていた。灰燼の連盟として、彼女は黎明の翼との協力に完全に賛同しているわけではなかったが、共通の敵である月の信者たちに対抗するためには、今は協力が最善と悟っていた。
「よろしい」とアレクサンドルが締めくくった。「これからの試練に備え、各々が役割を全うしてくれ。リディア、君の知識と勇気が必要だ。エリオット、計画を進めてくれ。セリーヌ、あなたたちの情報網もこの戦略の要となる」
全員がそれぞれの心に誓いを立てた瞬間だった。
協力への決意.txt · 最終更新: 2024/11/17 08:09 by webmaster