新たな旅路への再会と誓い
セシルとエミリアは、結婚後も冒険者としての心を忘れることはなかった。短い結婚式の余韻を味わう間もなく、再び旅立つ決意を固めていた。目的地はエリディアム――ルーン・オーブの謎を追い求めるためだ。しかし、その旅路の第一歩として、まずはクレスウェル邸を目指すことにした。リディアたちから得られる情報が、今後の探索の助けになると考えてのことだった。
朝の柔らかな光に包まれたカストゥムの街は活気にあふれ、人々が行き交う中、セシルとエミリアはアレクサンドルたちと会うためにアレナ・フェリダの事務所を訪れた。二人は、レオンやエリーナからエリディアムに関する情報を得る予定だった。
アレナを介した念話の場では、セシルとエミリアはリディアと少し話すことができた。リディアは疲れていながらも穏やかに微笑み、「セシル、エミリア、どうか気をつけてね」と温かい言葉を贈った。彼女の穏やかな声には、長い間失っていたものを取り戻した安堵が滲んでいた。
セシルは真剣な表情で頷き、「リディア、君のおかげで僕たちは進むべき道を見つけたんだ。ルーン・オーブの秘密を解き明かす手助けをしたい」と応えた。エミリアも同じように「必ず安全に戻るわ。あなたのためにできることは、全力でやるつもりよ」と言葉を添えた。
一方で、リュドミラもアレナの念話を通じてリディアと話をしていた。リディアの無事を確認できたことに、リュドミラは安堵の色を浮かべた。そして、静かな決意を秘めた表情で「アレックたちに協力することで、私も借りを返すわ」と誓った。リディアは彼女の言葉に感謝し、「あなたの力が加わることはとても心強い」と優しく応えた。
アレクサンドルたちと情報を交換したセシルとエミリアは、まずクレスウェル邸を訪れることを胸に決め、新たな旅路への期待と緊張を抱いていた。再び別れが近づくが、仲間たちの絆はより強く結ばれていることを感じていた。
エリディアムへの旅が始まる前に、クレスウェル邸で得られる情報を頼りにしつつ、二人は未来への不確かな一歩に、勇気を持って踏み出すことを決意したのだった。