月の信者たちの動き
エリディアムの北部、月明かりがわずかに照らす森の奥にある秘密の集会所。暗い木々の間から漏れる光の中で、月の信者たちが集まっていた。集会所の中央には、厳格な表情を浮かべたアグニス・フィオレが立っており、その周囲を取り囲む信者たちが低い声でざわめいていた。
アグニスは一歩前に出て、鋭い目で集まった信者たちを見渡した。「クレスウェル家が再び動き始めている。彼らが同盟を再構築しようとしていることは許せない。エリディアムの安定を保つためにも、我々が次に動かなければならない」
信者たちは互いに視線を交わしながら、静かにうなずいた。その中には高位聖職者のセヴェルス・カルディナの姿もあった。彼は教会の権力を使い、クレスウェル家を政治的に封じ込めようと考えている。「私の方でも、クレスウェル家への支援を試みる者たちには圧力をかけておこう。彼らが行動する前に恐怖を植え付けるのが得策だ」と冷静に言葉を継いだ。
また、ヴァルドール家の当主アルフォンス・ヴァルドールは別の案を提案した。「経済的な面からも、彼らを追い詰める必要がある。アレクトス家やナザルドール商会と協力し、商業的な圧力を強めよう。クレスウェル家が復活するには資金が不可欠だ。その流れを断ち切るのだ」
議論が続く中、若き信者の一人が前に進み出た。「しかし、彼らがルーン・オーブの秘密に近づいているという情報もあります。もしそれを手に入れられたら、我々の計画が崩れてしまうのでは?」
アグニスはその言葉に一瞬目を細めたが、すぐに冷ややかな笑みを浮かべた。「それこそ我々が最も警戒すべき点だ。ルーン・オーブの捜索には、さらなる監視をつけることにする。誰もクレスウェル家にその力を渡してはならない」
会議が終わりに近づくと、信者たちはそれぞれの役割を胸に刻み、静かに解散していった。アグニスは月を見上げながら、再び自らの決意を強くした。「月の力は我々にある。どんな犠牲を払ってでも、クレスウェル家を抑え込むのだ」
エピソードは、月の信者たちが新たな攻撃計画を練り始めたことを示し、クレスウェル家がさらに厳しい状況に立たされることを予感させて終わる。