灰燼の連盟との偶発的な接触
薄暗くなり始めた山道を進む黎明の翼の一行は、遠くに複数の影が立ちはだかっているのを目にした。夕暮れの残照を背にし、静かに道を塞ぐように立つその集団の中心には、黒髪の女性が鋭い眼差しを向けている。
リディアが剣の柄に手をかけ、低く呟いた。「敵意がある……警戒を」
一行が緊張を募らせる中、アレクサンドルが一歩前に進み、冷静にその女性に向かって問いかけた。「こちらの道を塞ぐ理由を教えていただけますか?」
黒髪の女性、セリーヌ・アルクナスは少し口元に笑みを浮かべたが、その眼差しには冷たさが宿っていた。「私はセリーヌ・アルクナス。ここを通るならば、あなた方の目的を伺いたいわ」
その名を聞いて、一瞬アレクサンドルは眉をひそめた。灰燼の連盟――噂だけが先行している危険な組織だった。だが、この場で引き下がるわけにもいかないと決意を固め、冷静に応じた。「私たちは知識と正義を追い求めているだけだ。破壊や混乱を望んでいるわけではない」
セリーヌはその言葉に微かに頷いたが、その眼差しは未だ厳しい。「それがあなた方の言う『正義』なら、私たちのそれとは異なるようね」
その場の空気がさらに張り詰める中、リディアが前に進み出て毅然とした声で言った。「私たちの目的は誰かを倒すことではなく、この地の平和を取り戻すこと。そして、私たちも同じく危険な敵と対峙している」
セリーヌはリディアの視線をじっと受け止め、わずかに口元を引き締めた。「そうだとしても、共に歩む者とは限らない。道を違えた者と理解し合えるとは限らないのよ」
灰燼の連盟と黎明の翼、二つの異なる理念を持つ者たちの間に、険しい沈黙が流れる。アレクサンドルたちは手に汗を握りながら、相手の動きを見守り、戦闘の可能性を視野に入れていた。
そして、誰も言葉を発さないまま、ただお互いを睨み合い、緊迫した空気の中で対峙が続いた。