結婚の知らせと新たな旅路への誘い
セシルとエミリアの結婚式から数日が経ったある午後、アレナ・フェリダの事務所に一通の手紙が届いた。差出人はマルコム・フィオルダスとリディア・クレスウェルの連名で、宛名にはレオンとエリーナの名前が丁寧に書かれていた。
エリーナが封を切ると、美しい金箔の縁取りが施された招待状が姿を現した。その文章はフォーマルながらも温かみがあり、両家の新たな門出を祝う結婚式への招待が綴られていた。内容を目で追うエリーナの表情がふと和らぎ、隣で気をもんでいたレオンが肩越しに手紙をのぞき込む。
「やっぱりそうだと思ったよ」とレオンが微笑む。「リディアが招待してくれたんだ」
手紙には、フィオルダス家とクレスウェル家の新たな絆を結ぶこの特別な日に、レオンとエリーナはもちろん、「黎明の翼の方々といっしょに活動されているみなさま」もぜひ参加してほしいとの言葉が添えられていた。「大切な友人たちと共にこの瞬間を迎えたい」と記されたリディアの筆跡には、彼女の優しさがにじんでいた。
エリーナが招待状を手に微笑むと、部屋にいたアレクサンドル、アレナ、リュドミラ、そしてマリアナも興味津々にその話を聞いた。
「私たちも招待されているのね」とマリアナが驚いたように言いながら、頬を染めた。「結婚式か……素敵ね」
リュドミラは優しく微笑みながら、「リディアが幸せな門出を迎えるんだもの。私たちがいなくてどうするの」と誇らしげに言った。その言葉には、彼女が今まで抱えていたリディアへの感謝と、彼女への借りを返したいという思いが込められていた。
一方、アレクサンドルは手紙を受け取りながら、複雑な表情を浮かべた。「リディアがフィオルダス家に嫁ぐのはわかっていたけれど、いざその瞬間が来ると……少し寂しいものだな」と正直に告げた。
アレナはそんな彼に軽く肩をたたき、「だからこそ、私たちは彼女を支えて笑顔で送り出すのよ」と励ました。そして、冗談交じりに「まあ、私たちも結婚式に出席するなら、それなりにおしゃれを考えないとね」と言い、場を和ませた。
「リディアのために何か特別な贈り物を準備しなきゃ」と、リュドミラが提案し、みんなで何を贈るかを相談することに決めた。新たな門出を祝う準備が、賑やかで温かな雰囲気の中で進んでいった。