道中の語らいと決意の共有
アレクサンドル、マリアナ、アレナ、リュドミラの4人は、朝の澄んだ空気の中を進んでいた。旅路は静かで、遠くで鳥のさえずりがかすかに聞こえる。馬車の車輪が地面を転がる音と、風に揺れる木々の音が耳に心地よい。アレクサンドルは馬を引きながら、ふと仲間たちに視線を向けた。
「この道も、何度通ったかわからないな」アレクサンドルは懐かしむように微笑んだ。「昔と比べれば、少しは平穏を感じられる」
マリアナはその言葉に頷いた。「でも、平穏なときこそ危機が潜んでいるのかもね。エリディアムやカストゥムでのこれからの動きが、本当に成功に繋がるといいんだけど」
アレナは黒髪を風に揺らしながら、何かを考え込むようにしていた。「エリオットとエリーナのことが気がかりよね。焦っている感じが念話を通して伝わってくるわ。彼らがうまくいくように祈るしかない」
リュドミラは褐色の肌に優しい笑みを浮かべ、ゆるくまとめた茶色の長髪を指で撫でた。「エリーナは今、大切な試練の中にいる。恋も戦いも、彼女がどこまで頑張れるか……私たちが見守る番ね」
アレクサンドルはリュドミラの言葉を受けて少し真剣な表情になった。「あいつらがどんなに成長しても、俺たちが支える役目を忘れてはいけないな。俺自身、結婚を控えているけれど、黎明の翼のリーダーとして最後まで責任を果たすつもりだ」
マリアナはその言葉に微笑んだ。「アレック、あなたがその覚悟を持ってくれていることが嬉しい。私もロマリウス家の娘としてだけでなく、黎明の翼の仲間として貢献する覚悟よ」
そのとき、リュドミラがマリアナに視線を向け、「黎明の翼に入ったのは大きな決断ね」と笑顔で言った。マリアナは驚いたように返しながら、「リューダ、あなたこそ同じことをしてるじゃない」と笑った。リュドミラは肩をすくめて笑い、「ええ、お互い様よ。でも、仲間として一緒に戦う覚悟があるって素敵なことね」と続けた。
アレクサンドルは、仲間たちの絆が少しずつ深まっていく様子を見て、安心したような表情を浮かべながら、「どんな道でも、みんなでなら越えていける」と静かに語った。マリアナはその言葉にうなずきながら、これからの旅路に期待と少しの不安を感じていた。
アレナは顔を上げ、リュドミラに視線を送った。「リューダ、あなたもこれからの活動でどんな力を見せてくれるのか楽しみね」
リュドミラは冗談めかした笑みを浮かべた。「まあ、力を発揮するためにも、まずはみんなの秘密をしっかり見抜いてあげるわ。嘘や裏切りが入り込む余地はないもの」
その言葉にアレクサンドルとマリアナも笑みをこぼし、馬車の揺れに合わせて話はさらに弾んでいった。旅路は長いが、共に歩む仲間たちの存在が心を支えていた。