黎明の翼への新たな誓い
リディアとマルコムの結婚式が無事に終わり、集まった人々がそれぞれ祝福の言葉を交わし合う中、アレクサンドルは静かに一息ついていた。その様子を見ていたリュドミラが、近づいて声をかけた。
「アレック、あなたのこと、リディアは見抜いていたのね」とリュドミラは柔らかく笑みを浮かべて言った。
アレクサンドルは少し驚きながらも、苦笑を浮かべた。「何を見抜いていたって?」
「あなたがエルドリッチ商会の後継者として責任を果たす覚悟を決め、マリアナと結婚した後は、黎明の翼をエリオットかカリスに任せて、引退するつもりでいることよ」とリュドミラは鋭く指摘した。
アレクサンドルは目を見開き、一瞬言葉を失ったが、すぐに肩をすくめて笑った。「そうか……そこまで見透かされていたか」
その時、マリアナが二人に歩み寄り、穏やかな表情で話に加わった。「私もそのことには気付いていたわ、アレック。でも、あなたにはまだ黎明の翼のリーダーでいてもらわないと困るの」と彼女はきっぱりと言い放った。
アレクサンドルは少し驚きつつも、マリアナの真剣な眼差しに心を動かされる。
「それにね、これを機に私も黎明の翼の一員にしてほしいの。リディアのように、私も結婚し、家庭を築いたとしても、必要とあらば剣を取って立ち上がる覚悟があるの」とマリアナは力強く宣言した。その言葉には、彼女の揺るぎない決意が込められていた。
リュドミラはそんなマリアナを見て、目を輝かせていた。「それなら、私も黎明の翼に入ろうかな?」と冗談めかしながらも、彼女の声には楽しげな響きがあった。
アレクサンドルはそんな二人を見て、胸の奥から温かい感情が湧き上がってくるのを感じた。彼の周りには、どこまでも頼もしく、そして大切な仲間たちが集まっていた。