悲報の夜
レオン・クレスウェルが、妹リディア・クレスウェルの消息が絶たれたという知らせを受け取ったのは、静かな夜のことだった。カストゥムに戻ってきた彼は、久しぶりに家族のことを考える余裕ができた矢先に、その知らせを受けた。リディアが任務中に姿を消し、誰も彼女の行方を知らないというのだ。
レオンは報せを聞いた瞬間、頭が真っ白になった。リディアはあらゆる困難に打ち勝つ強さを持つ、信頼できる剣士だった。だが、この時、彼女の力強さも経験も、彼を慰めるには不十分だった。何が起こったのか、どうして彼女が戻ってこないのか、まるで現実感がなかった。
レオンはすぐに行動を起こすべきか、冷静さを保つべきか、心の中で葛藤した。彼の最初の衝動は、すぐにでもリディアを探しに行くことだった。武器を取り、馬に乗り、彼女の最後の足取りを追ってでも見つけ出す。だが、それは理にかなっているのだろうか?彼女がどこにいるのか手がかりもなく、無謀に探しに出ることは無意味な結果を招くかもしれない。
それでも、何もしないことは彼にとって考えられなかった。
レオンは深い息をつき、決意を固めた。「まずは情報を集める。リディアが向かった場所、誰と接触していたか、どんな任務だったのか。少しでも手がかりをつかんでから動くべきだ」と心の中で自分に言い聞かせた。
彼はエリディアムにいる知人に連絡を取ることにした。リディアが任務に出た場所であるため、何かしらの手がかりがあるかもしれない。また、レオンはリディアの仲間だったエリオットやカリスにも接触を図ることにした。彼らが何を知っているのか、リディアが姿を消す前に何があったのか、少しでも情報を得るためだった。
レオンは自分の焦りを抑えながら、冷静に行動することを心掛けた。妹のために何ができるのかを考え、感情に流されることなく、戦士としての冷静さを保とうと努めた。
その夜、レオンは街の片隅にある小さな酒場で、いつもとは違う静けさを感じていた。彼の中では怒りと焦燥感が渦巻き、何もできない自分に対する無力感が増していた。だが、彼は知っていた。ここで自分が焦って動けば、リディアのことを見失ってしまう可能性があることを。
「待っていろ、リディア。必ず見つけ出す」レオンは静かに呟き、杯を置いた。
彼の目には、妹を守りたいという強い決意が宿っていた。そして、冷静に戦士としての役割を果たし、情報を集め、リディアを探し出すための一歩を踏み出そうとしていた。