別れと決意の旅路
エリーナは薄明かりの差し込むカストゥムの街角で、アレクサンドルと並んで立っていた。彼らの手元には、リディアの行方についての手紙があり、そこには「エリディアム東の遺跡にて目撃情報あり」と簡潔に記されていた。しかし差出人がなく、真偽も不明な手紙を信じて、これまでの苦労を無にすることはできない。
「確かな情報なのかしら……」と、エリーナは慎重に言葉を選びながら問いかけた。
「分からない。でも、これがリディアの行方を示す唯一の手がかりだとすれば、無視するわけにはいかない」とアレクサンドルは応じ、エリーナの目をじっと見つめた。
アレクサンドルはこの手紙に強い懸念を抱きながらも、リディアを見つけるためにはどんな情報も追う必要があると考えていた。そこで、手紙の内容をカストゥムに残るエリオットとカリスに確認してもらうよう、念のために頼むことにした。
「エリオットとカリスに、手紙の真偽を調べてもらうことにしよう」と言い、アレクサンドルはエリーナに説明した。「アレナも協力してくれるだろう。僕たちが先にエリディアムに向かっている間、カストゥムで調査を進めてくれるはずだ」
エリーナはその提案に頷き、アレクサンドルと共にエリディアムに向けた準備を整えた。
その夜、アレクサンドルから手紙を受け取ったエリオットは、内容にじっと目を通した。カリスが隣で彼の顔を覗き込みながら、「どう思う?」と尋ねた。
「これは確かに怪しいね。誰が送ったのか、目的は何か……気になる点が多い」とエリオットは慎重に答えた。「ただ、この手がかりが本物であれば、リディアを見つける一助になる。僕たちはあらゆる方法でこの手紙の出どころを追跡し、正確な情報かどうかを確認するべきだ」
カリスはエリオットの言葉に頷きながら、「アレナ・フェリダにも協力を頼んでおいた方がいいな。彼女の念話の力があれば、遠隔地にいるアレクサンドルたちとも連絡を取り合える」と提案した。
エリオットもその意見に賛成し、アレナに協力を依頼することに決めた。二人はそれぞれの方法で手紙の送り主を調べつつ、エリーナとアレクサンドルに報告できるよう準備を整えた。
こうして、アレクサンドルとエリーナは手紙を頼りにエリディアムへ向かうことになり、エリオット、カリス、アレナがその後方支援として調査を進める役割を担うこととなった。彼らの協力が、リディア捜索の重要な一手となる運命の旅路が、今、再び動き出そうとしていた。